最近、原画を買いたい・・という問い合わせが何件かあったのですが、正直言って、未だに絵を売るということに疑問を感じてしまいます。
僕の場合、ピカソやゴッホのように、短時間で一枚の絵を仕上げるタイプではないので、売るとなると、それなりの値段をつけないとやってられないってなってしまいます。それに、同じ絵というのは、精神的に何枚も描けるものではないし、新しい絵をどんどん生み出せるほどの才能もありません。
結局、素人に毛が生えた程度の実力なのに、何十万という値段を付けざるをえない状況になっています。
僕にとっては、それくらいの値段をつけないとやってられない大切なものなんだけど、買う側にとっては、はたして、そんなに価値あるものなのだろうか?って思ってしまうのです。
一年もすれば、部屋の片隅で、だれにも見られることなく、ほこりをかぶってるんじゃないか・・。
ほこりをかぶってないにしても、そんな大金を払ってもらうだけの、何かを与えられているのだろうか?
もし、飽きられた場合、お金を出してもらった人にも悪いし、僕も悲しい。
まして、いらなくなって売りに出されたりなんかしたら、もっと悲しい。
ゴッホやピカソは、今の時代、自分の絵が何億もの値段で売買されていることを知ったら、嬉しいと思うのだろうか?
いい絵だから・・という理由だけで、そんな値段が着いてるわけではないだろうし。
金儲けのネタにされたり・・。
以前、宮之浦で個展をやったときに、中学生の男の子が、僕の絵の前で、1時間くらい、じっと見てくれていた。
で、期間中、何度も足を運んでくれた。
絵を買ってもらえることは、ほんとありがたいことだけど、本当に僕が嬉しいのは、そうやって、じっと見つめてくれたり、何度も足を運んでくれたりすることなんだよな。
でも、やっぱ、売らなきゃ生活できないし、じゃぁ、他の仕事で生計を立てたらって方法もあるけど、やっぱ、一日中、創作のことを考えてたいし・・。
ほんと矛盾だらけです。
僕が今考えていること・・・。
例えば、音楽の世界で言えば、CDなんて一枚2800円くらいですか。
でも、その値段でも、その中に一生の思い出になる音楽が隠れているかもしれません。
やっぱ、作品の良さというのは、値段じゃないと思うのです。
かえって、値段が高くなると、余計なものまで引き込んでしまって、純粋な評価がされなくなってしまう気もする。
そう、だから、僕は可能な限り、そういう世界から離れたいと思います。
金銭的にそれほど高価にならないもの。
やっぱ、アニメーションの世界だな。
DVDにしても数千円。
それか、やっぱアトリエ喫茶にしてコーヒー代、数百円だな。
でも、そんだけ安くても、何億もするような絵なんかよりも、よっぽど見てくた人にインパクトを与えられるような作品を作りたいな。
すると、今度は沢山の人に見てもらわないと、生活できないって問題が出てくるんだよな。
どこまで行っても問題だらけだ。ははは。( -_-)
そうそう、先日、なんでも鑑定団をみてたら、抽選であたった、松井秀喜のメジャーで使用したサイン入りスパイクを、家族旅行をしたいからと言って、主婦がオークションにかけて、何十万(あれ?3桁だったか?)だかになって喜んでましたが、僕はそれを見て悲しくなりました。
松井はみんなに喜んでもらいたいと思って、愛用のスパイクをさし出したと思うんだけど、そんな金儲けに利用されて・・。
松井の善意が踏みにじられた気がして、松井がフビンに思えてなりませんでした。
軽はずみに出すものではありませんね。かえって、人の心の中の卑しい心を引き出してしまいます。